山形にとって、よそ者で流れ者の我々夫婦
弱点はもちろん、子供を見てくれるジジババがいない
だから夫婦だけでどこかにでかけられない
共働きをしたいけど
保育園の待機児童の多さは東北No.1
地元就職を希望しないのは自分で選んだことだけど
子供を見てくれるジジババがいない
(nijiwomita/歌詞:ジジババがいない /うたまっぷ歌詞無料検索)
そんな我々ですが、矢野顕子の一件では、どうしてもということで元同僚夫婦に頼み込んで子どもを見てもらった。子供をふたりとも預けて夜外出は初めて。子どもも親も、元同僚夫婦も、みんな緊張してだけど、少なくとも子どもも親も超満足。元同僚夫婦には本当に感謝。
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転勤族でうちと同じような悩みを持っている家はあるはず。山形県の平均所得の低さを反映してか、自分の生涯賃金に不安を抱く家も多いはず。いや、山形県関係なく転勤族とは決して裕福ではない。この先転勤するかどうかは別としても、よそものは大変だ。それに、そうだ、このままでは老後が心配だ。十分な貯蓄が作れないことは誰が見たって明らかだ。
都会に子どもが出て行ってしまって、老夫婦だけでは生活が大変な家も山形にはたくさんあるはず。何がって山形は雪下ろしや雪はきがあるよ。家事だって大変だろう。中山間部なんてどこもかしこも少子高齢化がシビアだ。そうだ、このままでは施設入りは確実だ。自分たちだけでは暮らしていけないことは誰が見たって明らかだ。
じゃあ、僕ら家族とあなたがた老夫婦で、一緒に暮らそう。嘘の三世代家族をやろう。あなたがたは広大な敷地の広大な家の、使っていないいくつかの部屋を貸してくれ。たまには子供の面倒も見てくれ。僕らは力仕事をやる。僕はご飯も作れるし、妻は鍼灸師だから体のケアもできる。異文化接触の授業も持っているから、たぶん文化や行動様式の違うあなたとは、それなりにうまくやれる可能性も高い。食費と光熱費は人数割りで行こう。財産は本当の子供に相続してくれ。僕らとあなた方は、今日や明日を生きるための家族なのだから、未来のお金は本来相続するところに。嘘の三世代家族に少しでも心を通わせる何かがあるなら、嘘の嘘がただの嘘くらいにはなるかもしれない。
そうしてぎくしゃくしながら生活を始めてみたところ、それなりに摩擦があるけれど、それなりに生活が回っていく。分かり合えることと分かり合えないことが見えてきたり、この老夫婦と僕らはうまく行けるポイントが初めからあったんだな、などと思ったりする。相性ってあるし、摩擦を回避したり最小限に抑えたり、うまくやれるポイントを相互に大きく見せる方法もあるなあ、と気づいたりする。このノウハウをもって、僕らのような家族と老夫婦をつなげるNPOを作ったら、誰かの役に立つかも知れない。山形も流入人口が増える。流入した人も見知らぬ土地で孤軍奮闘するよりずっと良い。
山村留学じゃなくて、これは嘘の家族の本当の生活だから、オリエンタリズムじゃなくて、ゲスト側もホスト側もどっちも変質するんだ。そうやって新しい場所を作っていくんだ。田舎に行って元気をもらったとか、どちらも椅子から立ち上がることがないような、そんなクソくだらないお為ごかしの関係じゃなくて、きちんと人間同士が新しい場所を作っていくんだ。来年来てもまた同じおばあちゃんが迎えてくれるから、都会の仕事もがんばれるとか、そうやって搾取しあうような関係じゃないんだ。だってもう僕らもあなた方も、自分たちだけでは生きていけないんだから。
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もしそうなったら、俺たちにもあなたたちにも恩赦しかない。罪深い俺にもどうぞ、恩赦、恩赦、恩赦。あなたにも恩赦、恩赦、恩赦。
風呂敷を広げすぎました。恩赦あらんことを。
あとこれを読むと元同僚が老夫婦であるように読めなくもないが、全然違う。そういうところも、風呂敷を広げすぎました。
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