たぶん美味しいんだろうけれど、今食べちゃうと後で「美味しいものが食べたい」と思うときに手を伸ばす物がなくなってしまうから。たぶんそういう理由で読まなかったのだと思う森薫『乙嫁語り』(→amazon)をとうとう読み始めてしまった。まだ2巻までしか読んでないが、まず間違いなく絵や線が好き。中央アジア&(少なくともここまで)布のテキスタイルとか装飾品がフィーチャーされているところは、五十嵐大介『魔女』の一編を思い出す。一体、マンガで刺繍の綾目を丁寧に書き込もうというのはどういう欲望からやってくるのだろうと思う。そのものずばり刺繍なのかな。何にせよ、絵を細部まで書き込んでいく快楽は、ストーリー作りとは違う快楽なのでしょう。
掲載誌「Fellows!」を手に取ったことはないけれど、wikipedia(ハルタ - Wikipedia)を見ると隔月発行のために画力重視の作家さんたちが集まって、「1コマあたりの線数が多い」連載が立ち並ぶという。入江亜季の『乱と灰色の魔法』も絵がゴージャスだもんね。『ジゼル』もそうか…(表紙しか見ていないけど)。この人達の、ややレトロな印象の太くはっきりとした線も力強く手繰り寄せられる感じがして良い。
マンガでしか表現できない気持ちよさが実験的な手法を志向する作品について指摘されることは多いと思うんだけど、『乙嫁語り』の絵や線の気持ちよさは、ストーリーや造形とは別に明らかにマンガだからこそのもの。これはゆっくり味読したい作品。
マンガでしか表現できない気持ちよさが実験的な手法を志向する作品について指摘されることは多いと思うんだけど、『乙嫁語り』の絵や線の気持ちよさは、ストーリーや造形とは別に明らかにマンガだからこそのもの。これはゆっくり味読したい作品。
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