この半期で読んだ数少ない言語系の本で一番おもしろかったのは、城生佰太郎『一般音声学講義』(→amazon)だった。タイトルはおそらくソシュールの『一般言語学講義』を模しているのだろう。そのためか受講者の講義ノートのような雰囲気と教員の手控えを合わせた印象を受ける。時に実際の講義の口調で進められていて、教室の空気が感じられるところは、何というか同業者としてくすぐったいほほえましさがある。
で、内容はというと、言語学や音韻論から独立した領域としての「一般音声学」を掲げながら、調音音声学、音響音声学、聴覚音声学、そして比較的新しい談話音声への展望まで俯瞰できる作りになっている。個人的には音響音声学の学史がしっかり押さえられているのがありがたかった。概説を押さえるのは比較的簡単だが、学史を押さえるのは骨だから。著者は、脳神経科学と聴覚実験音声学で有名な方だが、そのあたりの記述は控えめ。あくまでも「一般音声学」を意識した作りになっている。
というわけで、この本は位置づけとしては明らかに概説書なのだが、それにもかかわらず読ませる本になっているのが不思議。概説書で読ませる本なんて僕はほかに知らない。ひとつには、これは講義の文字化であるから、言ってみれば声の残響?みたいなものが各所に感じられるということ(音声学だしね)、もうひとつはそれと著者のキャラクターがむき出しになっているということにあると思う。学生に愛された方なんだろうなと思う。しかも、どちらかというとマニアックな学生に。
で、内容はというと、言語学や音韻論から独立した領域としての「一般音声学」を掲げながら、調音音声学、音響音声学、聴覚音声学、そして比較的新しい談話音声への展望まで俯瞰できる作りになっている。個人的には音響音声学の学史がしっかり押さえられているのがありがたかった。概説を押さえるのは比較的簡単だが、学史を押さえるのは骨だから。著者は、脳神経科学と聴覚実験音声学で有名な方だが、そのあたりの記述は控えめ。あくまでも「一般音声学」を意識した作りになっている。
というわけで、この本は位置づけとしては明らかに概説書なのだが、それにもかかわらず読ませる本になっているのが不思議。概説書で読ませる本なんて僕はほかに知らない。ひとつには、これは講義の文字化であるから、言ってみれば声の残響?みたいなものが各所に感じられるということ(音声学だしね)、もうひとつはそれと著者のキャラクターがむき出しになっているということにあると思う。学生に愛された方なんだろうなと思う。しかも、どちらかというとマニアックな学生に。
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