さて、TeX環境である。平安鎌倉期の漢字文献を取り扱うという専門の性質上、多漢字環境の構築は必須、で、文字鏡フォントに依存した環境を利用している。今回は(も?)インストールに苦労したので、以下メモ。
まずはTeXの環境づくりだが、例によってTeX Wikiを見ながらひとつずつインストールはめんどくさいなあと思って、ネットを検索しているとTeXインストーラ3 0.72(→TeXインストーラ3 0.72)を使うと、dvioutからgs関連ソフトまで、自動でftpからダウンロードしてインストールしてくれるという。vistaの成功例もあるようだからと思ってトライしたが、インストールが完了しても、うまく文書ファイルがコンパイルされない。PATHが通っていないので環境変数を書き込んでもうまく行かない…。
結局、インストール(Windows) - TeX Wikiを見ながらゼロから環境構築して行くと、途中で自動インストーラと、この手動の方法では、なぜかディレクトリ構造が違うことに気づいた。通したと思い込んでいたPATHが違ったようだ。でも、そもそもインストーラがPATHを間違えるはずはないし、原因はよく分からない。手動インストールでは、TeX Wikiの説明に完全に従ったので、問題なく文書ファイルがコンパイルされた。
つづいてTeX用文字鏡フォントのインストールだが、参照したWindows 用 TeX で文字鏡フォントを利用する方法の情報は少し古い。文字鏡研究会はフォントのダウンロードサービスを停止している(ダウンロードサービスの中止について)。サーバ移転のため2008年2月から約1年の停止というから、そろそろの開始となるのだろう。代わりにスタンフォード大学のサイトからダウンロードせよとの指示に従ってクリックすると、今度はStanford University: Page not found!となる。結局、すでにTeX用文字鏡フォントがインストールされているパソコンからコピーして事なきを得た。
ちなみに僕はいまだに10万字版今昔文字鏡を使っている。現状で大きな問題にぶつかったことはない。15万字版では何が増えたのかネットで検索する限りは詳細は分からないが、5万字分利便性が高まったのだろう、と想像する。10万字版はvistaでは実害はない程度の不具合が出る。15万字版ではvistaへの対応があるようだ(→バージョンアップ情報)。いずれ15万字版を購入するときは、あわせてTeX用フォントも導入したかったがダウンロードサービスの中止についてによれば、2008年2月の段階で作成すらしていないようだ。
つまり、vistaを使えばいずれ10万字版は使えないか使いにくい状況となり、vistaに対応している15万字版を使えばTeXに対応しない部分が問題となる。というところでWindows 用 TeX で文字鏡フォントを利用する方法を見れば、冒頭に次のようにある。
でもutf/otfでは2万数千字しか使えないのでは…(→OTF - TeX Wiki)。どうなる、この領域の研究者は。多漢字環境をTeXでどう保証するの。
まずはTeXの環境づくりだが、例によってTeX Wikiを見ながらひとつずつインストールはめんどくさいなあと思って、ネットを検索しているとTeXインストーラ3 0.72(→TeXインストーラ3 0.72)を使うと、dvioutからgs関連ソフトまで、自動でftpからダウンロードしてインストールしてくれるという。vistaの成功例もあるようだからと思ってトライしたが、インストールが完了しても、うまく文書ファイルがコンパイルされない。PATHが通っていないので環境変数を書き込んでもうまく行かない…。
結局、インストール(Windows) - TeX Wikiを見ながらゼロから環境構築して行くと、途中で自動インストーラと、この手動の方法では、なぜかディレクトリ構造が違うことに気づいた。通したと思い込んでいたPATHが違ったようだ。でも、そもそもインストーラがPATHを間違えるはずはないし、原因はよく分からない。手動インストールでは、TeX Wikiの説明に完全に従ったので、問題なく文書ファイルがコンパイルされた。
つづいてTeX用文字鏡フォントのインストールだが、参照したWindows 用 TeX で文字鏡フォントを利用する方法の情報は少し古い。文字鏡研究会はフォントのダウンロードサービスを停止している(ダウンロードサービスの中止について)。サーバ移転のため2008年2月から約1年の停止というから、そろそろの開始となるのだろう。代わりにスタンフォード大学のサイトからダウンロードせよとの指示に従ってクリックすると、今度はStanford University: Page not found!となる。結局、すでにTeX用文字鏡フォントがインストールされているパソコンからコピーして事なきを得た。
ちなみに僕はいまだに10万字版今昔文字鏡を使っている。現状で大きな問題にぶつかったことはない。15万字版では何が増えたのかネットで検索する限りは詳細は分からないが、5万字分利便性が高まったのだろう、と想像する。10万字版はvistaでは実害はない程度の不具合が出る。15万字版ではvistaへの対応があるようだ(→バージョンアップ情報)。いずれ15万字版を購入するときは、あわせてTeX用フォントも導入したかったがダウンロードサービスの中止についてによれば、2008年2月の段階で作成すらしていないようだ。
つまり、vistaを使えばいずれ10万字版は使えないか使いにくい状況となり、vistaに対応している15万字版を使えばTeXに対応しない部分が問題となる。というところでWindows 用 TeX で文字鏡フォントを利用する方法を見れば、冒頭に次のようにある。
最近では,様々な文字を取り扱うには utf/otf パッケージの方が文字鏡パッケージよりも一般的に使われるようになりました。今後は大きな変更が無い限りこのページのメンテナンスを停止いたします。
でもutf/otfでは2万数千字しか使えないのでは…(→OTF - TeX Wiki)。どうなる、この領域の研究者は。多漢字環境をTeXでどう保証するの。
コメント
同様の悩みを抱えてネットをさまよい、ここにたどり着きました。
内部Unicode化のためだと思われますが、日本語TeXの開発やメンテもちょっと伏流気味になってるようです。いろいろダウンロードできません。
30年も昔、2バイトコード化で苦労された方々は、漢字=絵文字=使う人は低能、という米国を中心としたコンピュータ文化(というか欧米の思い込み)と戦っていました。白人世界でも2バイトコードでなければ表示できない国もあることがわかって改善されました。
その後は当用漢字以外をどう扱うかで大変な苦労の結果、私は学術用には無理だと思うのですが、中国人・韓国人のおおせいな縄張り意識の効果で、Unicodeになりました。日本語TeXの世界も今、前期のように内部Unicode化に統一される直前になってます。
この騒ぎの中で学術用にも使える今昔文字鏡とかGTフォントも埋め込めるようになってきたのですが、置き去りですね。
漢字を使う世界は日本以外は実は歴史は半世紀程度しかない国々だし、古文書(20世紀の文書も含まれます)を自国民が解読して歴史を自律的に学ぶことは歓迎しないでしょう。政府文書が表示できればそれ以上は関係ないのです。
2バイトコード化、文字コードの拡大、というムーヴメントでは多くのコンピュータ科学者が関与しましたが、再び「学術」用にという願いには無関心になってしまったようです。彼らにとってはひと段落してしまったからですね。
それから今昔文字鏡についてはうさんくさい話がつきまとうので、利用者・開発者が離れてしまっているようです。「通信用語の基礎知識」というサイトで「今昔文字鏡」については、
「今昔文字鏡には、不用意に関わり合いを持たない方が良いと考えられ、実際に多くの漢字文字を扱おうとするグループはこことは別個に文字の収集と附番の活動を行なっているのである」
などとまで書かれてしまっています。私も非売品の紀要であっても、今昔文字鏡のフォントを埋め込んだままで今後だいじょうぶかな、と不安も持っています(可能な部分はGTフォントに置き換えるなどしています)。ご指摘のサイトが今昔文字鏡向けのサポートをやめるというのもこの流れかと思います。
有用な情報ありがとうございます。同様の悩みを抱えていらっしゃるとのこと、心中お察しします。
TeXの世界もUnicode化が進んでいるのですね。しばらく古いjisの世界に安住していたので、気づけば周囲の変化に驚いている次第です。
しかし今昔文字鏡がTeXのサポートをやめるとなると、多漢字環境を取るか、TeXを取るかという話になりますね。多漢字環境自体を作れない私のような研究者は途方に暮れるばかりです。