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11月, 2011の投稿を表示しています

楊逸『おいしい中国―「酸甜苦辣」の大陸』

野村進『島国チャイニーズ』(→ amazon )に出てきた楊逸のエピソードが興味深く、芥川賞受賞作『時が滲む朝』(→ amazon )と『おいしい中国―「酸甜苦辣」の大陸』(→ amazon )を購入した。お風呂でダラダラ読んだのは『おいしい中国』。帯には、「中華料理で文化を味わう」「餃子」「腸詰め」「ワイン」などの文字が踊る。 すわよだれダラー、いやこの場合ダラーではなくユエンか、などと思うことはなくてですね、読んでみたら確かによだれユエンだったのだが、それ以上に文革で下放された知識人家庭に育った子どもの体験記でした。ハルピン都市部から思想改造のため農村にやられて、寒さに耐える話とか、カフェ本にない重厚さ。僕も学生時代に冬のハルピンに行ったことがあるが、零下30度くらいの激烈な寒さである。豆油がなくなって亜麻油を料理に使ったら家族が全員めまいを起こした、といったエピソードなのに、楊逸ってあっけらかんと書くので、ふわっと読めてしまうのね。 とはいえ別に政治的な背景はあくまでも背景でしかなく、メインは子供時代の楊逸視点からの活き活きした貧乏生活と、お母さんが作ってくれた料理の数々。ただしカフェ本っぽい装丁の本書からは良い意味で裏切られて、なんというか貧乏な時代に手をかけて作った家庭料理のオンパレードなのですね。油饼(→ 油饼_百度百科 ),烧饼(→ 烧饼_百度百科 ),酸菜炖粉条(→ 猪肉酸菜炖粉条做法[图解] )とか中国東北料理とか、読んでて山形市の中華料理店「好吃再来」(→ 好吃再来(ほ つ ざい らい) - 中華料理 (山形県山形市) | 山形まるごと情報サイト☆ヤマガタウェイ )を思い出し、近いうちにに行こうと強く思った。「好吃再来」の酸っぱい白菜の肉炒めは死ぬほどおいしいので東京の人とかも来るといいと思います。 それで、うまそげな中国東北料理が乱舞する中で、ひときわ興味を持ったのが「玫瑰饼」というもの。玫瑰というのはハマナスのことだそうだ(→ 玫瑰(当て字・熟字訓) (はまなす) - 関心空間 )。え?宗谷岬のあのハマナス?ということで、あの花は食べれるのですね。楊逸の本では、70年代になって改革開放政策(文革もう疲れたよ~)でちょいと福利厚生とかも大事じゃんの雰囲気のなか職場のピクニックでハマナスを摘みまくったとある。それをお母さんが

扁炉

今年の忘年会は、扁炉(ピェンロー)をやろうといま心に決めましたので、関係者はどうぞよろしく。 扁炉 ピェンロー:妹尾河童さんによる旨すぎ白菜鍋 (←この写真やばすぎ)

見逃したライブを悔やむタイム

何の気なしにyoutubeサーフィンかましてたら、矢野☓上原が昭和女子大人見記念講堂で公開録音をやっていて、しかもCDまで出していることを知った。慌ててアマゾンで2枚買ったけど後悔はせず(笑)。つか新品は売り切れ入荷待ち、中古ならすぐなので両方アタックかけました。Get Together ~LIVE IN TOKYO~(→ amazon )。ジャケットも素敵。 収録曲を見ると、 1. CHILDREN IN THE SUMMER 2. あんたがたどこさ 3. ケープコッド・チップス 4. リーン・オン・ミー 5. 学べよ 6. 月と太陽 7. リンゴの木陰で 8. ラーメンたべたい 初回限定ではDVDがついていて、ラーメンたべたいが収録されているようだ。「とんこつ」バージョンだといいな、と思う。 公開録音では、もっとたくさんやったみたい(→ 矢野顕子×上原ひろみ@昭和女子大学人見記念講堂 - ルーツな日記 )。セットリストを見ると、2006年のときと少し重複がある。あのときはNHKで放送されただけでCDにはならかった。なので、やりなおし?みたいなニュアンスがあるのかな。リンク先ではアンコールからのテイクについて感想があるけど、CDには収録されていないようで、うらやましい限りです。 2人はこの会場で2006年12月に演奏している( d0612 、12月8日)。その時のセットリストはかなり贅沢だった。 上原ひろみ 1. Desert on the Moon 2. My One and Only Love 3. ひとりぼっちはやめた 4. Tom and Jerry Show 矢野顕子 1. 中央線 2. きよしちゃん(新曲) 3. ばらの花 4. ごはんができたよ Duo 1. Children in the Summer 2. あんたがたどこさ~アフロブルー 3. Living with You 4. Very Early 5. はこ 6. Deja Vu 7. ラーメンたべたい アンコール 1. そこのアイロンに告ぐ 2. Green Tea Farm きよしちゃんが新曲だなんて時代ですね。そしてこの時もGreen Tea Farmやってたんですね。自分が行ったことあるライブでこ

三兎追うものは一兎をも得ずです?

授業内での言語調査、1日目終了。今年は調査項目をがっつり入れたので、参加してくれた人たちが「楽しかったー」と帰っていくことに安心しつつ、でも学生にはもうちょっと負荷がかかるやり方でも良かったかもなと思う。  僕は方言研究が専門ではないので、最初からがっつりとした研究論文を書くつもりではないスタンスで調査項目を作っている(もちろん授業でやるからには基本的な調査リテラシーを身につけさせることが目的だから、そこはぶれない)。だから調査協力者への負荷が比較的軽い調査票が出来上がるのだろう。ま、それはそれで。 学生には調査だけど調査にするな、話を聞くつもりでいっぱいコミュニケーションしながらやれ、と伝えてある。調査結果のフィードバックもやるけれど、答えて楽しかったという印象を残したい。学生にもちゃんとコミュニケーションできたという手応えを残したい。その上で調査結果もきちんと残したい。  方言研究を専門にしている人の話を聞くと、授業で本気のがっつり調査をやっちゃう場合もあるけれど、協力者の満足感も学生への教育的効果も全部コミコミで狙う人も、そうでない人もいるので「人それぞれじゃん?」ということらしい。これまで参加させてもらった調査で、かなりやばいもめ方をした調査もあった。なんちうかですね、科学的調査を標榜しても相手はやっぱり人間だ、という極めてベタなことなんですよね。  だからラポール大切、とは言うものの、たぶんそれと同じくらい調査内容と密接な関係があると思われ。用法とか使用度とかは協力者側に「教えてあげている」ポジションを用意しやすいのだけど、音声調査とかだとかなりそのポジションは作りにくい。なので学生と授業で大規模音声調査とか考えただけでクラクラするわけです。 さてそこで協力者側から、「来年はおらだのことばを音声で残したい」と来た。ありがたくて涙出ます。音声データベースを作るのはやってみたかった。でも方法はじっくり考えないとですね。調査は明日もう一日。