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9月, 2011の投稿を表示しています

Bonsai meets Otaku. It's a new traditional style !

その他、台湾で気になったことを少し。台湾って、妻がちらと見た現地のニュース番組で昨年からの経済成長が110%ですって。ソースはと思ったらあった(→ [世] 実質経済成長率の推移(1980~2011年)の比較(台湾、日本) )。経済音痴な僕ではここから読み取れることはほとんどないけれど、台湾が日本より伸びているのは分かる。そしてそのことは数字の上だけではなくて、実際に行ってみた感じと合致している。いい家、いい車に乗っている人がすごく増えている印象があった。7年前と感じが違う?! 高級自転車に乗っている人たちもいっぱりいるし…。円高にものを言わせて一台購入したいくらい。 僕が一番感じたのは、いとこやその子供たちが日本語を学ぶ気をさらさらなくしていたことだった。少なくとも7年前は、社交辞令レベルであったとしても「勉強してみようかなー」という声は耳にした。今回はそれが全くない。それよっか英語がずいぶん浸透している様子で、高校生も英語がかなり上手(といっても英文学が好きなんじゃなくてコミュニケーションが好きってんだから、どこも一緒だよね)。今回は「いやー、日本語はね、ウフフフ」(意訳)という反応。 普段、日本に来ている台湾からの留学生から、僕が受ける印象はオタク系が多いということ。若い子は日本のアニメやマンガがみんな好きなのかと思ってた。そしたらそうでもないのな!口はぼったい感じもあるが台湾の親戚はアッパーミドルクラスの人が多くて、彼らの子どもは「ドラゴンボール?何ソレ」「ワンピース?聞いたことない」という。でも台湾101の地下おもちゃ売り場にはたしかにでっかいルフィのポップがあったし、ホテルのレストランでウェイトレスやっているいかにもいーかーにーもfujoshiな感じの子は「ルフィ大好きです!」「日本語はアニメで勉強しました!」との話だった。 つまりお話を6段階くらいすっ飛ばして考えると、やっぱり東さんが言うようにCool Japanなんてもう過去の遺物、しかもハナっから狭いターゲットを対象としたマーケットで、しかもしかも最初から金にならん世界なのかもしれん。 世界に誇るメイドインジャパン と経産省がのたまうことにどれくらい期待して良いのか…。 しかしやはり台湾にも趣味人というのはいるもので、日本の江戸時代に大ブームを起こしたBonsaiと平成時代

国立台湾文学館の母語文学

台南で面白かったのは足裏マッサージ、じゃなくて国立台湾文学館(→ 國立台灣文學館 ;日本語も選択できる)だった。平常展「台湾における母語文学常設展覧会」(→ 台湾における母語文学常設展覧会 | 国立台湾文学館 )には次のようにある。 台湾は多元多族の島であるため、それぞれの母語文学を持たす特色がある。本展示は台湾語と客家語と原住民それぞれの言語で表した文学の豊かさを参観者に分かりやすく、楽しめるように作り上げました。そして、母語文学が台湾文学における存在価値を認識してもらいたい。 いわゆる台湾語も書記が十分に整理されていないので、アルファベット表記を交える(このエントリの写真だけは全てクリックすると600pxlに拡大できます)。よく誤解されるが台湾の公用語は北京語に似た言語(北京語話者と十分に意思疎通ができる)であって台湾語ではない。1945年以前は日本語を除けば台湾語がマジョリティであった。台湾語も語族的には漢語の一種ではあるが表記法が定まっておらず、母語話者の主観では「台湾語は口頭語であって書けるものではない」とのこと。しかし近年台湾で高まっている母語運動の気運もあって、表記法も検討されているようだ。台北淡水にある真理大学の台湾文学系では、表記法確定の試みを続けている(→ 九年一貫鄉土語言教育 台語羅馬字進修教學網站 )。書記言語としてのポジションを確立することは、ダイグロシア的な階層関係のなかで言語をより高い変種に位置取りすることを意味するので、これは貴重な取り組みと言える。 母語運動は客家語や、各原住民(PC的にはまずそうだが現地の言い方を借りれば)の諸言語にも同じ気運が高まる。 客家語版『星の王子さま』も。 原住民文学もあったが、アルファベット表記だった(写真はなし)。文学ではなく日記で目を引いたのが次の写真。 貴重な内容なので、左のページを試みに少し翻刻してみる。 三月十七日星期■(七)上午雲下午大雨 目を醒と外は已経に明るい.馬上寝具を片付て窓を打 開し東の空■を眺れば雲におほわれ■■た太陽の光 線がもれてゐる.吃早飯以後クリスチヤンサヘ君か本を持ちなか ら遊びに来た.今日(ルビ:コンチ)は?先生は何所へ行く?と言ふと今日一中自分 と(書入:遊ぶ)さうてある。なんと自今は嬉しからそうれて一日■中彼氏と談話 し夕方雨が

法事・道教入り仏教

台湾2日目、台湾高速鉄道(新幹線)にて台南に向かう。 新幹線の中で見かけたシール。漢字文化圏を共有しながらのおもろいところは、お約束の「ずれ」ですね。 駅前には自転車(Giant)の人たちがたむろう。中秋節ということもあり、昼間はのんびりとしている。街中はロードバイクやクロスバイクをたくさん見かける。有名ブランドの自転車のパーツはだいたい台湾で製造されていることと関係があるか。 今回の台湾来訪のメイン、祖母の法事と親戚との交流、などなど。台湾のお寺は道教と渾然一体となっていて、お寺の屋根には道教のキャラクターがあしらわれているものも多い。もちろん仏像はある。 でも商売の神様、関羽も一緒に祀られていたりする。 法事では皆でお経を唱える。檀家は頭に入っているようだが、僕らには経典が渡される。読経は台湾語、おそらく文言音。日本のような単調なリズムではなく、跳ねるようにリズミカルに読み上げる。メロディもある。檀家は黒衣をまとう。お坊さんの指示するタイミングで、床に三叩頭。 祖母の位牌。お寺に位牌が陳列されているうちの、ひとつとなる。 骨壷はこんな感じ。つまりお墓センターみたいなものがあり、ロッカーにも見えなくもないところへ、完全封入される。ラオスの玉(ぎょく)でできた壷に収められた後、二度と開かないようにロッカーに封入される。その後、紙銭を皆で焼く。 その後、宗廟へ。母方の姓は頼というのだけど、頼の一族が宗廟を作って管理をしている。碑の記述によれば、清代に福建省から渡ってきたようだ。数えてみると僕で10代目らしい。 2代前が住んでいたという三合院。建物がコの字型に配置されている。北京の四合院の一つ欠けている形。 この日、一番の食べ物は肉そぼろや野菜を煮たものを、おこわで包んだもの。ひとつで十分お腹いっぱいになる分量。 豆醤(トウジャン)と組み合わせる。まあ正直、歓待の料理が続くと疲れるので、ほんとうはこれくらいで十分。 お約束の。

台北へ・ゲイパーティー

4人家族になってから初めて台湾に向かう。山形、東京、成田が一番長かったかな。台湾に行くのに気持ちのハードルが低いのは、自分にとって半分のルーツがあるということ以上に、成田からの飛行機が余り揺れないことにあるのではないかと思う。でも今回はいくつかのスポットでやや大きな揺れがあった。昨年の12月、インドネシアへの出張で飛行機の恐怖を不思議な形で克服してしまってから( niji wo mita: 恐怖を克服するために )、あれは夢なのかどうかもう一度本当に確かめないうちにはやはり安心するわけには行かないと思っていた。して、結果は、やっぱり克服できていた。揺れればいい気持ちはしないものの、以前のように体が硬直するような恐怖はない。生理的反応とすら思っていたことが、治療や事件がないままにある日を境にスパッと断ちきれて、違う世界を味わうことになろうとは人間は不思議なものだ。 台北桃園空港にて、村上隆チックなアートに遭遇。 * * * * * 初日、鳥スープのお店にて台北チームの親戚から歓待を受ける。 濃厚すぎ。激烈においしかった。どうも豚足も入っていて、それゆえにコラーゲンたっぷりなスープの表面になっているよう。 へちまとにんにくの炒めもの。沖縄もへちまは食べますよね。 このあたりはよくあるよくある。シャンツァイを食べたの、どんくらいぶりだろう。 日本では「法事などで山のような親戚に会って、顔と名前が一致しないけれど適当に話題を合わせる」みたいな体験に乏しい。台湾でのこれがそれなのだな、と思う。あなたのことは小学生の頃から知っている、誰々と喧嘩して大泣きした云々。僕が台湾に時折来るようになったのは23歳以降なので台湾を意識するのもかれこれ15年のこと、今度は15年前以降小さかった台湾の親戚の子供たちが大きくなって、僕のほうが君らのことは小学生の頃から知っている、大学での専攻は?などと聞く立場に。かわえーのー。 ホテルに戻り、僕と子供2人が眠った後、深夜の台北を妻は散歩していたらしい。翌朝、戦利品の傘を見せてもらう。ホテルの下の方のフロアでは、クラブでゲイの大パーティーが行われていたようだ。にぎやかなことで。

September kills

毎年恒例の、内輪の研究会発表を終えてきちんと辛辣なコメントをいただけて(涙)、学内の広報材作成が間に合って、石巻の出張が終わって、盛岡での講演が終わって、さあ仙台のスタバで元同僚待ち。昼ごはんを食べようとのこと。仙台に大変お詳しい元同僚であるだけに、さぞかしおいしいお昼ごはんなのであろうな!なのであろうよ!というわけで、スタバでずっと待ってるんだけど!  「ごめん待った?」「ううん、全然」  BLか。ほんで明朝はやくから家族全員で台湾に向かいます。先遣部隊からは「異常なし」「暑い」「おいしい」などの戦果報告があいつぐ。いちおー祖母の法事☆です!原稿直しと授業計画の宿題を抱えながら、行く前から仕事できない感がプンプンであります。

朔ユキ蔵『黒髪のヘルガ』

朔ユキ蔵『黒髪のヘルガ』(→ amazon )を出張帰りの新幹線で読む。1冊読み切りは移動時間にぴったんこ。エロティクスF掲載をちらと見たことはあったけど、こういう話だとは思わなかった! で、この作品は『少女ギターを弾く』(→ amazon )以来、性欲とは何かを暴力的な筆致でテーマにし続けた朔ユキ蔵のひとつのアンサーだなと思う。所有、独占、憎しみの起源をSFファンタジーをベースに語る。朔ユキ蔵がシリアスものをきちんと最後まで書いたのも新鮮だった。ネタバレなしで読んだほうが面白いので、ここではあまり書かないけど、今年のベスト10冊には入ると思う。