中小大学で教えていると、学生の理解に合わせた授業スタイルが妙に板についてきて、いろんな意味で心配になる。それとは別に、「学生の理解に合わせ」るってどういうことだよ、と自分ツッコミをすることも少なくない。 で、留学生の編入対策勉強会として、姜尚中『ナショナリズム』を本気で輪読。留学生にも分かりやすい文献とか、もうそういう欺瞞を一度止めてみる。分かっても分かんなくても本気で読むからついてこいや的な、それはそれで教育という名の自己欺瞞との誹りも恐れず。「思考のフロンティア」シリーズである同書は、留学生でなくとも、読み通すにはやや骨が折れるのだが、骨が折れてみよう。折れたらくっつけてみよう。 自分で読んだのも大学院生の時だから、内容はかなりうろ覚え。ナショナリズムは曖昧模糊であるがゆえに、公民という概念とは対極であるはずの人種・民族といった「見えやすい」フィクションに根拠を置きがちという話で、ナチスの優生学から血液型まで話が及ぶあたりは、個人的に熱が入りまくり。このところ専門の授業でも出さない本気の本気で、プロレスの試合なのに本気のグーで殴ってしまった感じすらある。でもいいのだ。空気を読んだり八百長をしかけたりしない、会場ドン引きなセメントなことがあったっていいのだ。
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