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東大ジャズ講義録・歴史編

ちょっと古いけど、菊池成孔+大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・歴史編』(→amazon)を7時間ぶっ通しで読了。266ページのこの本を読むのにこれだけの時間がかかったのは、youtubeやamazonの視聴コーナーを駆使して書籍内で紹介されている音源を実際に耳にしながら読んだから。




ジャズの歴史とかウンチクから全く開放されていて、まんま行き当たりばったりに出会った盤をiTUNES的にデータベース的に消費する聞き方が、これでできなくなってしまったかもしれない。聞きたいものを本能に従って聞く、みたいなイノセンス気取る格好ももう取れなくなってしまったな、きっと。というくらいに、この本には明確なパースペクティブがあって、要はコードの様式化とそれ自体の盛衰からジャズ史を描いたというもの。コードによって構造だけがザックリ示されて個人のアーティスト性が自由に発露されるようになったのがモダンジャズで、様式の限界に気づいてモードとかフリージャズへの展開を試みたりしているうちに、一部は密教化していってオタクのものになりつつも、また一方では新しいジャンルの音楽との接触を繰り返しながらMIDIの出現でコードの持つ音楽の生成力にとどめが刺されたという話。ジャズのモダンって、いわゆる構造主義なんだよね?そういう理解でいいのかな。

僕自身は、五線譜は読めるけどコードは読めないどころか存在意義からして不可思議に感じていたので、その意味がやっと分かったという点で、とても面白かった。コードはただの音の組み合わせの定式化であるのではなくて、異なるコードの順列組み合わせによって物語をつむげる様にしたものだったんだー、というジャズ史自体とは直接的に関係ないところで感動しているわけですが。音楽聴きながら「こう来て、次はこう来る」みたいな身体で感じ取っている部分を言語化してもらえた感覚には、たとえば昨年バスケットボールのプレイ理論に関する論文を読んだときと同じような快感があった。

それにしても今回は、youtubeの威力を改めて思い知った。実は、途中まで紹介されている音源をすべてyoutubeからリストアップしてやろうと意気込んでいたのだけど、それよりも音源自体を楽しみたいという欲望が勝って結局頓挫した(笑)。印象的だった動画をひとつだけ紹介しておこう。第5回講義「一九五九~一九六二年におけるジャズの変化(1)」のp.112では、John Coltrane - Giant Stepsがバップの終焉とその先の「モダン」ジャズを決定付けるランドマークとして紹介されている。テキストではこの曲のコード進行が如何に特異であるか述べられているのだけど、なんと以下に掲げる動画は音源にあわせて楽譜が示されていて、あたかも補助教材として用意されているかのよう!おかげでテキストの内容がすごくよく分かった。


ちなみにいまさらながら読むきっかけとなったのは、Youtubeで読むジャズ史「東京大学のアルバート・アイラー」(その1)赤の女王とお茶を)に影響されて。改めて、併せて読むと良く分かると思います。

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