小川幸辰『エンブリヲ』(1)(2)(→amazon)を読んだ。復刊ドットコムからファンの熱い声に押されて復刊したもの。帯にはバイオロジカルホラーとある。もしワームホラーというジャンルがあるなら、ワームホラー世界のジュブナイルとか黒ナウシカとか呼ばれて差し支えないくらいの、ちょっとさわやかでえげつない読後感だった(全3巻で終わるみたいなのでまた途中)。

94年8月からアフタヌーンで連載されていたようだが、思い起こせば90年代後半はバイオホラーブームだったように思う。瀬名秀明『パラサイト・イヴ』が1995年、鈴木光司『らせん』が1995年、ゲームの「バイオハザード」が1996年にカプコンから発売されていることを考えると、90年代後半に盛り上がったように思えていたバイオホラーブーム(ってのがあったとして)の、嚆矢がこの『エンブリヲ』だったのかも知れない。ドーキンスの『利己的な遺伝子』が1991年に邦訳されたことも大きいんだろうね。そうそう、今の脳ブームの前は遺伝子ブームだった、そうだった。
お話は、いまんとこ、工業・生活廃水の汚染物質で突然変化をきたした30センチくらいの知性を持ったしゃべる芋虫が人間を襲いまくるけど虫姫さまたる主人公が芋虫の子供を受胎して芋虫の女王と一騎打ちする雰囲気です。息切れする。虫が苦手な人は読んだらいけまてん。絵柄が微妙に夏子の酒なので、言うほど気持ち悪くもないし、虫ラッシュを見ているうちに間違いなく新しい昆虫感覚が芽生えてきて、芋虫愛らしいという、子宮感覚にも似た暖かな子虫感覚に包まれるので、やっぱ虫が苦手な人も読めばいい。だって、下水溝奥深くの芋虫の巣に潜入して行くエピソードで、途中に大量のゴキブリに見舞われるシーンがあるんだけど、こうですよ。
登場人物の一人である、身も婀娜な女子高生がやれやれといった風情で指でゴキブリを払い落としています。ゴキブリ怖くない、虫大丈夫、いじめかっこ悪い。主人公たちは生物オタクの生物部のひとたちなので、まあそういう設定なわけですが…。主人公も芋虫の子供を受胎して、あたしこの子を産むからね!って母性愛に包まれているあたりも、まあそういう設定なわけだからね。突っ込まずに、その母性愛に共感すればいいんだきっと。
94年8月からアフタヌーンで連載されていたようだが、思い起こせば90年代後半はバイオホラーブームだったように思う。瀬名秀明『パラサイト・イヴ』が1995年、鈴木光司『らせん』が1995年、ゲームの「バイオハザード」が1996年にカプコンから発売されていることを考えると、90年代後半に盛り上がったように思えていたバイオホラーブーム(ってのがあったとして)の、嚆矢がこの『エンブリヲ』だったのかも知れない。ドーキンスの『利己的な遺伝子』が1991年に邦訳されたことも大きいんだろうね。そうそう、今の脳ブームの前は遺伝子ブームだった、そうだった。
お話は、いまんとこ、工業・生活廃水の汚染物質で突然変化をきたした30センチくらいの知性を持ったしゃべる芋虫が人間を襲いまくるけど虫姫さまたる主人公が芋虫の子供を受胎して芋虫の女王と一騎打ちする雰囲気です。息切れする。虫が苦手な人は読んだらいけまてん。絵柄が微妙に夏子の酒なので、言うほど気持ち悪くもないし、虫ラッシュを見ているうちに間違いなく新しい昆虫感覚が芽生えてきて、芋虫愛らしいという、子宮感覚にも似た暖かな子虫感覚に包まれるので、やっぱ虫が苦手な人も読めばいい。だって、下水溝奥深くの芋虫の巣に潜入して行くエピソードで、途中に大量のゴキブリに見舞われるシーンがあるんだけど、こうですよ。
「おちつけっ ばか ゴキブリだよ ほら…な?」
「ふーっ なあんだ」
登場人物の一人である、身も婀娜な女子高生がやれやれといった風情で指でゴキブリを払い落としています。ゴキブリ怖くない、虫大丈夫、いじめかっこ悪い。主人公たちは生物オタクの生物部のひとたちなので、まあそういう設定なわけですが…。主人公も芋虫の子供を受胎して、あたしこの子を産むからね!って母性愛に包まれているあたりも、まあそういう設定なわけだからね。突っ込まずに、その母性愛に共感すればいいんだきっと。
コメント