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第2のパロール

パロール研究会編『第2のパロール』(→amazon)読了。近代言語学の父、フェルディナン・ド・ソシュール(1857-1913, wikipedia)が、言語の共時態において、ランガージュ、ラング、パロールの3つの局面を定義したのは有名である。シンボル生成としてのランガージュ、社会的規範の体系としてのラング、個人的側面としての言語実践であるパロールに加え、2000年代は第2、第3のパロール研究がめざましい。90年代から2000年代にかけて、認知言語学と脳科学の急速な接近により、抽象的な議論に収まりがちであったパロール研究に突破口が見いだされたことは記憶に新しい。


この分野の発展は、やはり榎本俊二(1968 - , wikipedia)の功績に負うところが多い。パロールの主体としての自己を「ファースト自分」と定義し、その自己をメタ的に眺める「セカンド自分」、さらに意識を高めるときにのみ現れる「サード自分」などの階層的な自己意識を枠組みとして、それぞれの階層によって実現されるパロールを「第2のパロール」「第3のパロール」などとした。著書「ムーたち(2)」(→モーニング|連載マンガの部屋)によれば、「ファースト自分はいわばダムみたいなもので そこからセカンド自分サード自分へと意識を分配しているんだよ」とあり、下位の階層がより上位の階層を産出していることが明らかにされているが、パロールでもこれと同じ現象が起こっているという。


たとえばいわゆる第1のパロールでは声帯振動による基本周波数(F0)がピッチを構成するが、第2のパロールではその10倍音、第3のパロールでは30倍音界王拳がピッチを構成するため、加老とともに可聴周波域が狭くなるとアクセントが識別しにくくなる(p.121)。第1のパロールでは子音と母音が言語音の基本単位となるが、第2のパロールでは母音のみ、第3のパロールでは鼻腔の響きだけが基本単位となる。したがって、早朝の布団が名残惜しい時間帯での夫婦間の会話において「ンンンー(おはよー)」「ンンン、ンンー?(ごはん、まだー?)」というような伝達が可能となる(pp.156-158)。第1のパロールでは談話においてフィラー(「えーと」「あのー」)が機能的に働くが、第2のパロールではフィラーが演歌のコブシのように波打つ音調で現れ、第3のパロールではフィラーだけがミニマルテクノのように反復される談話が現れ(「あのねーあのねーえーとーんーと、あのねーあのねーえーとーんーと、あのねーあのねーえーとーんーと」以下約20,000ページにわたって反復)、談話の途中においてもステップを踏むことが可能であるという(pp.1346-222345)。

4月1日におけるこうしたテクストは全くもって容量の無駄遣いであるわけだが、さきほど同僚にどぎつくダマされたのと、「純水における量子構造伝播作用に関するかなり画期的な論文」で見つけたホメオパシーの最新理論に触発というか、むしろかなりやけくそになって行った新書紹介である。いいの。誰も分かんなくてもいいのこれは。

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