山田芳裕『文庫版 度胸星(1)-(3)』(→amazon)を購入。90年代の連載時も読んでいたし、単行本も持っていたけれどまた買ってしまった。久しぶりに読んでみると、有色人種の大統領がいたり不況時に税金が宇宙開発費に回されることへの反対運動など、未来への予見が当たっているなあと思うこともしばしば。火星探索に向けた宇宙飛行士の試験もの、という意味ではモーニングで連載のナントカ兄弟の原型にもなっているのかね。
それにしても、山田芳裕が描く面白さは、ストーリーより、マンガの表現法に自覚的な所にあると思う(メタ視点がある)。山田芳裕のマンガを読めば、パースの取り方が異常だったりすることには誰でも気づくだろう。線もまた独特で表現に富む印象を持つ。でも本作の表現上の白眉は、多分誰がどうみても超立方体「テセラック」の描き方だろう。四次元の存在であることが示唆されているテセラックは、三次元ではあり得ない振る舞いをする。距離の感覚が三次元である我々では捉え切れないわけだが、マンガのお約束である遠近感を敢えてぶち壊すことで我々に「四次元の存在」であることを伝えている。二次元でね。ゆえにこれは映画では再現できないし、再現しようものならとたんに陳腐な作品になるだろう。
マンガの手法にメタな視点を持ち、それを描くのはふつうギャグマンガが専門フィールドだけれど、SFもハマりどころを見つければきっちりハマるもんだなあと改めて思った。四次元を二次元で書いてみせる方法は、短編「ウルトラ伴」でも実験的に描かれていたことは、ファンなら誰しも思い出すだろう(と書いていらっしゃる方がここにも→度胸星)。
ストーリーというか、脚本もよくできているように思う(登場人物の魅力の描き方、エピソードのつなげ方など)。名作。
四次元を三次元の我々が「類推」のちからを借りて理解するには、以前触れたことがある(niji wo mita: 血液型ハラスメントというのはマジで存在するか)。
それにしても、山田芳裕が描く面白さは、ストーリーより、マンガの表現法に自覚的な所にあると思う(メタ視点がある)。山田芳裕のマンガを読めば、パースの取り方が異常だったりすることには誰でも気づくだろう。線もまた独特で表現に富む印象を持つ。でも本作の表現上の白眉は、多分誰がどうみても超立方体「テセラック」の描き方だろう。四次元の存在であることが示唆されているテセラックは、三次元ではあり得ない振る舞いをする。距離の感覚が三次元である我々では捉え切れないわけだが、マンガのお約束である遠近感を敢えてぶち壊すことで我々に「四次元の存在」であることを伝えている。二次元でね。ゆえにこれは映画では再現できないし、再現しようものならとたんに陳腐な作品になるだろう。
マンガの手法にメタな視点を持ち、それを描くのはふつうギャグマンガが専門フィールドだけれど、SFもハマりどころを見つければきっちりハマるもんだなあと改めて思った。四次元を二次元で書いてみせる方法は、短編「ウルトラ伴」でも実験的に描かれていたことは、ファンなら誰しも思い出すだろう(と書いていらっしゃる方がここにも→度胸星)。
ストーリーというか、脚本もよくできているように思う(登場人物の魅力の描き方、エピソードのつなげ方など)。名作。
四次元を三次元の我々が「類推」のちからを借りて理解するには、以前触れたことがある(niji wo mita: 血液型ハラスメントというのはマジで存在するか)。
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