帰りの新幹線で読む用のあれで岡村星『誘爆発作』(→amazon)を、つい帯に釣られて買ってしまった。作者は帯でハードル上げるのやめてくれと後書きで書いているが、この帯で僕は買いましたからね!正直この帯じゃマンガのライトユーザー層は却って敬遠するんじゃないかと心配申し上げるくらいです。つーか帯が他の漫画を批評しているってどういう帯なのか。ということで帯でグッと来たところを抜き書きで取り上げます。
ちなみに帯のこの解説はフォントでいうところの5ptくらいの大きさの文字でざっくりぎっしり書かれています。そこをガッツリ読んで買ったわたくしは、帯(幅10センチ程度)の上方に沙村広明による推薦文が書かれているとは気づかなんだ。読んでみてのセリフ回しのしっくり来るヤサグレ感と、油断するとすぐ「あまつさえ」とか「歯牙にもかけない」とか文系大学生っぽいしょうもない言葉遣いに溺れる感じがまさにそんな感じで、これを要するに、好きです!どうしようもない感じが好きなのであります。
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内容は、かなり良かった。買いだと思います。心臓の拍動がつながってしまった若い女と老紳士というアイディアも素敵(そして恋愛要素が一ミリもないのがいい!)。ただし帯付きのを買ったほうが楽しめます。そして最後に付言するなら、表紙のセンスと帯の力によって、読んでみるまでこのマンガがギャグマンガである可能性もフィフティー・フィフティーくらいの気持ちでした。真面目なサスペンスで驚きました。凄惨な描写もあるのに、でもどことなくコミカルなセンスもあり、表紙の本気かふざけてるのか分からない感じも込みで読ませました。
「魅力的な登場人物」 記号的な、テンプレどおりのキャラではなく、実在するかのような登場人物が作中に息づいています。安易なキャラ立てに食傷している人にも、すぐれた効果をあらわします。(1巻より)
ちなみに帯のこの解説はフォントでいうところの5ptくらいの大きさの文字でざっくりぎっしり書かれています。そこをガッツリ読んで買ったわたくしは、帯(幅10センチ程度)の上方に沙村広明による推薦文が書かれているとは気づかなんだ。読んでみてのセリフ回しのしっくり来るヤサグレ感と、油断するとすぐ「あまつさえ」とか「歯牙にもかけない」とか文系大学生っぽいしょうもない言葉遣いに溺れる感じがまさにそんな感じで、これを要するに、好きです!どうしようもない感じが好きなのであります。
「簡潔かつ迅速な展開」 連載誌が季刊なので単行本の刊行ペースはアレですが、物語は一本道でスリリングかつスピーディに進みます。迷走したあげくグダグダな展開に陥り、ラストシーンを見届ける気にならないタイプのマンガではありません。(2巻)全国のマンガ家さんに殺意を芽生えさせる秀逸なアオリだと思います。そういうアオリは◯ティー◯・ボー◯・ラ◯連載時の◯木◯◯◯に向けていただきたかった。確かに『誘爆発作』は3巻にもなるのに時間的にはこれ数日?主たる登場人物は「犯人を追い詰める」をずっとやっているだけの一本道展開でありながら、濃密な展開で読ませます。
「劣化しづらいスタンダードな作風」 メディアミックスやランキング本の威力で急激にブレイクした作品は、早々に飽きられ、完結を前にオワコン扱いとなるリスクが高まります。本作は殆ど評価されていないため、外的要因による劣化の心配はありません。(3巻)漫画界の基礎を日々築き上げている凡百の書き手さんに謝れ、つーかこの失礼な言い草に私もお詫び申し上げなければならないわけですが、何よりこの帯の書き手は沙村広明に謝れと言いたいくらいに絵柄が似ているのはアシスタントをしていらしたのでしょうか。立花が尸良に見えてしかたがないです。『無限の住人』において好きなキャラベスト3に入るくらいの尸良っぽさは目つきにも現れています。あと初期の「首吊り気球」とか書いていた頃の伊藤潤二にも似ている。
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内容は、かなり良かった。買いだと思います。心臓の拍動がつながってしまった若い女と老紳士というアイディアも素敵(そして恋愛要素が一ミリもないのがいい!)。ただし帯付きのを買ったほうが楽しめます。そして最後に付言するなら、表紙のセンスと帯の力によって、読んでみるまでこのマンガがギャグマンガである可能性もフィフティー・フィフティーくらいの気持ちでした。真面目なサスペンスで驚きました。凄惨な描写もあるのに、でもどことなくコミカルなセンスもあり、表紙の本気かふざけてるのか分からない感じも込みで読ませました。
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