日本語史のビッグイシューたる「ア行のエとヤ行のエが合流する」をめぐるお話、「あめつち」「たゐに」「いろは」を材料とする話をざっくりと押さえる。手に取りやすいところでは、築島裕1969『平安時代語新論』東京大学出版会、馬渕和夫1971『国語音韻論』笠間書院、小松英雄1979『いろはうた』中公新書(2009年復刊)、小倉肇2011『日本語音韻史論考』和泉書院あたりか。その他、書籍では入手しにくいものは上掲書に含まれる参考文献で。音韻史の話題を超えて、ミステリー仕立てのお話に突入しつつある側面もあるので、実証主義を旨とする領域では受け入れられにくい議論かもしれない。が、そういうことが理論的予測を招来し、あとからパズルのピースとなる物的証拠が追いかけてくることはいくらもあることだし、何より知的好奇心をくすぐられる。
2004年前後に小倉氏が再論してくださったので(そして近年書籍化されたので)、議論の概略マップが見渡せるようになった。音韻史の話題が表現の話題も巻き込みながら豊かな議論につながったのは、亀井&小松両氏が蒔いた種の成果であることは間違いないだろう。ここまでもうこの話題はほとんど小倉氏によって語り尽くされている感もなきにしもあらずだが。「あめつち」のアクセントと字音声調学習のところはまだちょっと議論の余地があるかもしれない。ちょっと深入りしてしまったが、授業ネタ。
幼学の会1997『口遊注解』勉誠出版も読んだ。百科事典的なものは語学的関心とは別に面白いものですね。
2004年前後に小倉氏が再論してくださったので(そして近年書籍化されたので)、議論の概略マップが見渡せるようになった。音韻史の話題が表現の話題も巻き込みながら豊かな議論につながったのは、亀井&小松両氏が蒔いた種の成果であることは間違いないだろう。ここまでもうこの話題はほとんど小倉氏によって語り尽くされている感もなきにしもあらずだが。「あめつち」のアクセントと字音声調学習のところはまだちょっと議論の余地があるかもしれない。ちょっと深入りしてしまったが、授業ネタ。
幼学の会1997『口遊注解』勉誠出版も読んだ。百科事典的なものは語学的関心とは別に面白いものですね。
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